役牌をポンしちゃいけない手牌って?

現代麻雀においては、役牌は1枚目から鳴くのがセオリーになっています。
実際、初心者の方であれば毎回ポンして問題ありません。

とはいえ、常にポン優位なわけでもありません。
そこで、今回の記事では「役牌をポンしない方が良い手牌とは、どのような手牌なのか」を解説します。

  • ざっくりとした結論
  • 仕掛けのタブー
  • 具体例
  • これなら鳴く
  • まとめ

ざっくりとした結論

役牌を鳴かない方が良い手牌を大まかに分類すると「手がめちゃくちゃ良いとき」と「手がめちゃくちゃ悪いとき」の2パターンがあります。

「手がめちゃくちゃ良いとき」とは、簡単に言うとリーチが打てそうな手のことです。
なぜこのようなときに鳴かない方が良いのかというと、基本的にはリーチを打った方が打点が高くなるからです。

どのような手牌だと「リーチが打てそう」なのか、という基準については別の機会で解説します。

今回の記事では、より遭遇する頻度が高く、成績に直結しやすい「手がめちゃくちゃ悪いとき」の方の基準を提示します。

仕掛けのタブー

役牌の鳴きに限らず、全ての鳴き判断に使える「仕掛けのタブー」基準があります。
仕掛けのタブー3つを全て満たしているときは、仕掛けない方が良いです。

仕掛けのタブー
①安い(2000点以下)
②遠い(雀頭が無い、3副露しそう、ブロックが足りていない)
③安全牌が無い(役牌をポンして仕掛けていくと、安全牌が無くなってしまう)

(佐々木さんへ→この太字部分画像化してください。)

なぜこれらの条件を全て満たす鳴きがタブーなのかを説明します。

手牌の価値は基本的に、「打点」と「速度」によって決まります。
麻雀は点棒を多く稼いだ人の勝ちなので、高打点(マンガン・ハネマン)を狙える手牌はそれだけで価値があります。
また打点が低くても早くアガることができれば、高打点の相手の手を潰せます。当然、それにも大きな価値があります。

打点的に価値がある手牌なのか、速度的に価値がある手牌なのか、もしくはその両方を兼ね備えた手牌なのかを見極めて手を作っていくのが大切なことです。

しかし、打点的にも速度的にも価値が無い手牌もあります。
そのような手牌を貰ったときには、守備力を高めることが大事です。

価値がある手牌のときは攻め、価値が無い手牌のときはしっかり守備を固める、という使い分け、すなわち押し引きが重要です。

①安い②遠いを満たしている手牌は、打点的な価値も速度的な価値も無い手牌です。
そのような手牌で守備力を無くす(=③「安全牌が無い」を満たす)のが良くないのです。

具体例

理屈を理解していただいた上で、具体的な牌姿を用いながら解説します。

東1局西家3巡目
135m4789p268s南中中 ドラ7m

これは中をギリギリ鳴かない、ボーダーラインくらいの手牌です。
これより少し良い条件が重なったら鳴きますし、悪い条件が重なったら鳴きません。

仕掛けのタブーと1つずつ照らし合わせます。

①安い→満たしています。中をポンして1000点の手牌です。
②遠い→満たしています。後程詳しく解説します。
③安全牌が無い→満たしています。中をポンしたあとは数牌ばかりになり、リーチが来たときに降り切れない可能性が高いです。

「仕掛けのタブー」を3つとも全て満たしているので、この手牌で中は鳴きません。

この手を遠いと見なす理由は、3つあります。
i) 完成メンツが1つだけだから
ii) 雀頭が無いから
iii)メンツ候補(ブロック)が足りていないから
1つずつ解説します。

i) 完成メンツが1つだけだから

3副露しそうだな、と思わせる要素です。
麻雀は4メンツ1雀頭を作るゲームです。
つまり完成メンツが1つだけだと、アガるためには残り3つのメンツを作る必要があります。

リャンメンならばそこからは鳴かなくても良いのですが、愚形は鳴いた方が良いです。
今回はマンズもソウズも愚形なので、3副露する確率がそこそこ高いです。

※3副露が絶対にだめというわけではありません。するときはします。ただ、最初から3副露する確率が高いと分かっているときは、それを目指さない方が良いという話です。

ii )雀頭が無いから。

なぜ雀頭が無いと鳴かない寄りになるのかというと、
「鳴いて雀頭は作れないから」
「最後に残ってしまうと単騎待ちになってしまうから(捲り合いに弱い)」
「手牌が短いと雀頭は作りにくいから」
という理由が挙げられます。

例えば先程の手牌

135m4789p268s南中中 ドラ7m

から、中をポンして南を切り、7sをチーして2sを切るとします。
そうすると、2sや南を重ねる受け入れが減ります。
また7sをチーしたために、6sと8sの重なりも消えてしまいます。

極端に言うと、手牌が13枚あったら重ねられる候補は13枚ありますが、手牌が1枚だけだと1枚しか重ねられる候補がありません。
手牌が短くなればなるほど、雀頭は作りにくくなるのです。

iii)メンツ候補(ブロック)が足りていないから。

現状、

135m4789p268s南中中 ドラ7m

135m、789p、68s、中中の4ブロックです。
5ブロック目は4p、2s、南のくっつきに託されています。

しかし、鳴けば鳴くほどメンツ候補は作りにくくなるのです。
例えば上の手牌から中を鳴いて南を切ると、南の重なりが失われます。
さらに7sをチーして2sを切ると、2sにくっつけてメンツ候補(ブロック)を作るルートが無くなってしまいます。
そうなると、5ブロック目のくっつきは4pのくっつきのみになってしまうのです。

以上がこの手牌を「遠い」と見なす理由です。

これなら鳴く

上と似た形で、「これなら鳴く」という手牌を2つ紹介します。

①東1局西家3巡目
135m4789p68s南南中中 ドラ7m

この手牌だと、

①安い→Yes
②遠い→No
③安全牌が無い→No

となり、鳴き優位になります。

先程の手牌

135m4789p268s南中中 ドラ7m

と比べて打点は同じですが、以下の点が違います。

・雀頭ができた、5ブロックが見えるようになった→「遠い」手牌ではなくなった

・南対子で守備力ができた→「安全牌が無い」手牌ではなくなった

②東1局西家3巡目
3r57m4789p2r57s南中中 ドラ8p

この手牌は、

①安い→No
②遠い→Yes
③安全牌が無い→Yes

となり、①を満たさないので鳴き優位になります。

最初に出てきた手牌

135m4789p268s南中中 ドラ7m

と比べると、形はほとんど変わっていません。
しかし、打点が中ドラ1赤2のマンガンになっています。

3900点(できればマンガン)の打点があると、かなり遠いところからでも鳴き優位になるのです。

まとめ

役牌をスルーすべき手牌は、「仕掛けのタブー」を全てを満たしている手牌!

仕掛けのタブー
①安い(2000点以下)
②遠い(雀頭が無い、3副露しそう、ブロックが足りていない)
③安全牌が無い

この基準は、役牌以外の鳴き判断にも使えます。

この基準を守るだけで、仕掛けの精度はかなり高まります。
ぜひ実践で意識してみてください。

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