今回は、牌効率の分野の解説です。
効率の良い打牌を選択するには、「こういう形が受け入れ枚数が多い」という具体的なパターンを覚えてそれを応用することが近道です。
中でもアガリに直結するという意味で重要な「強い1シャンテンの形」を知っていただくため、強力な1シャンテン形である「ヘッドレス」という形について解説していきます。
- 複雑な何切るを解く鍵「ヘッドレス」
- 「ヘッドレス」は受け入れが優秀
- 特に優秀な「ヘッドレス」形
- まとめ
複雑な何切るを解く鍵「ヘッドレス」
突然ですが、以下の手牌(牌姿Aとします)で、何を切るのが一番テンパイへの効率が良いでしょうか?
●牌姿A
1枚切って1シャンテンに構えられる状態の手牌です。
マンズの形がごちゃごちゃしていて複雑ですね。
結論を言うと、「切り」が最もテンパイへの受け入れが広くなります。
これは地道に数えればわかることではあるのですが、実戦においては、あらゆる打牌候補についていちいち受け入れ枚数を数えて比較するわけにもいかないですよね。
重要なのは、「何に注意すれば切りに思考が至るのか」を理解することです。
実は、上の手牌からを切った形こそが、「ヘッドレス」の一種といえます。
今回は、「ヘッドレス」という形への理解が、切りを選択する鍵になっていたのです。
「ヘッドレス」は受け入れが優秀
さて、「ヘッドレス」について詳しく解説していきましょう。
「ヘッドレス」という言葉の意味としては、「ヘッド=頭(雀頭)」「レス=無い」…つまり、雀頭が無い形のことを言います。
中でも、基本的に1シャンテンのようなテンパイに近い段階の牌姿を指します。
今回の記事では「雀頭が無い1シャンテン」について「ヘッドレス(ヘッドレス形)」と表現しています。
ここからは、冒頭の牌姿とは別の具体例をあげて解説していきます。
●牌姿B
リャンメン2つ(いわゆる「リャンメンリャンメン形」)の1シャンテンで構えていたところに、を引いてきました。
このツモによって、元々雀頭予定だった部分での面子を作ることもできるようになっています。
ここで、の部分を面子として扱ってを切ると、現状雀頭が無くなりますね。これが「ヘッドレス形」です。
もちろん、(或いは)を切ってを雀頭として固定し、「リャンメンリャンメン形」を維持することも可能です。
「ヘッドレス形」に受ける切りと、「リャンメンリャンメン形」に受ける()切り、どちらが良いでしょうか?
実際に、テンパイする受け入れ枚数を比較してみます。
◆を切ってヘッドレス形を選択した場合
テンパイする受け入れ:+(計8種28枚)
◆を切ってリャンメンリャンメン形を選択した場合
テンパイする受け入れ:
(計4種16枚)
このように、ヘッドレス形は基本的に受け入れが広くなります。
これは、元々あったリャンメンの受け入れに加えて、「未完成なターツのどこかが雀頭になってテンパイする」というパターンが生まれるためです。牌姿Bで言うと、の部分と、の部分ですね。
単純にテンパイする枚数で比較すると、ヘッドレス形のほうが優れているということがわかりました。
ただし、ここで注意したいのは、上記のような場合にを切ってヘッドレス形に受けることは必ずしもメリットだけではなく、圧倒的に優れた選択とは言い切れないということです。
ヘッドレス形は、テンパイした時の待ちが単騎待ちになってしまうケースが増えるという性質を持っています。
というのも、ヘッドレス形は雀頭を確定させないので、最終的に雀頭を求めるテンパイ(つまり単騎待ち)に行き着くことが多くなります。
牌姿Bで言うとなどを引いてきた場合は、単騎待ちになります。
単騎待ちは、待ちの枚数が少なくなってしまうため基本的に良い待ちとは言えません。
できれば、リャンメンのような良い待ちでテンパイしたいですよね。
単騎待ちになりやすいことは、ヘッドレス形の一つのデメリットと言えるでしょう。
その点、良い待ちでテンパイする受け入れだけで比較すると僅かにリャンメンリャンメン形のほうが多いので、実際にはこの牌姿の選択は難しく、上級者になると状況によって使い分けることになります。
ひとまず、「ヘッドレス形は受け入れ枚数面で優秀」ということは覚えておいてください。
特に優秀なヘッドレス形
一方で、以下の手牌ではどうでしょうか。
●牌姿C
牌姿Bとの違いは、ピンズのメンツ部分がのシュンツ(順子)ではなくのアンコ(暗刻)に変わっていることだけです。
当然こちらも、リャンメンリャンメン形かヘッドレス形か選択することができます。
また、受け入れも牌姿Bと全く同じになります。
ただ、この場合に関しては、を切ってヘッドレス形に受ける選択が明確に優位になります。
その理由を一言で言うと、最終的に雀頭が無いままテンパイしても、のアンコを切り崩して雀頭にすることができるからです。
を引いてきた場合、牌姿Bであれば単騎待ちになってしまいましたが、牌姿Cではを切ることでアンコが雀頭になり、リャンメン形を崩さずにテンパイすることができます。
あるいは、以下のような手牌も考えてみましょう。
●牌姿D
こちらも同様に、切りが明確に優位になります。
今回はアンコは無いですが、実は良い待ちを保証する形が隠れています。
それは「連続形」です。
この牌姿では、やのように、メンツとターツが一部重なったり、連続したりしていますよね。
このような形は、最終的にノベタンや亜リャンメンを生みやすく、単騎待ちよりはよほど良い待ちでテンパイできるのです。
実際に、引きの場合は「を切って待ちのノベタン」や「を切って待ちのノベタン」のテンパイに取ることができますし、引きの場合は「を切って待ちのノベタン」や「を切って待ちの亜リャンメン」のテンパイに取ることができます。
このように、雀頭を作りやすい形が組み込まれているヘッドレス形は、従来のヘッドレス形のデメリットを解消し、盤石なものにしているのです。
まとめ
ここまでの解説を一度まとめると、以下の通りです。
・雀頭の無い1シャンテンは受け入れが広い(メリット)
・雀頭が最後までできないと単騎待ちになってしまう(デメリット)
・雀頭を作りやすい形(アンコや連続形)があれば②のデメリットをカバーできる
そして以上のことから、「アンコor連続形があるヘッドレス形は最強の1シャンテンの1種と言える」ということでした。
ここで、改めて冒頭の牌姿Aの問題に立ち返ってみましょう。
(牌姿A)
切りが優れているということは既にお話ししましたが、具体的に他の候補と比べてみます。
選択肢としては、、、、などが候補にあがりますね。
それぞれの受け入れは以下の通りです。
◆打 (計13種41枚)
◆打 (計9種29枚)
◆打 (計9種26枚)
◆打 (計9種26枚)
◆打 (計8種24枚)
が最も受け入れが多いということをいかにして見抜くのか。
これには、ヘッドレスという形への理解が鍵になっていると冒頭でも述べました。
比較のため、まずは他の打牌候補を掘り下げていきましょう。
を切った場合は、マンズの形が以下のようになります。
「ウイング形」などと呼ばれる形ですが、「を持ってくるとを切ってが雀頭」になり、「を持ってくるとを切ってが雀頭」になります。端のどちらかのリャンメンを埋めると反対側の端の部分が雀頭になるという、少々ややこしい形です。
いずれにしても、「かのどちらかを雀頭にする」という選択なので、雀頭のある1シャンテンということになります。
次に、やを切る選択ですが、マンズを切っていないのでマンズの形は牌姿Aののままです。
この場合、をリャンメンターツ、をメンツ、とはシャンポン形として扱うことになります。シャンポン形ということはすなわちこの部分を雀頭にする1シャンテン形になっています。
つまり、切りや切りも同様に雀頭を決める選択です。
を切る選択はどうなるかと言いますと、マンズの形は以下の通りです。
これもやはり、基本的にはが雀頭で待ちという形になるので、雀頭のある1シャンテンになると言えます。
このように、切り、切り、切り、切りなどは全て、ヘッドレス形とは言えません。
それに対して、切りの選択は、優秀なヘッドレス形の要件を満たしているのです。
マンズが「の1メンツ」と「の1メンツ+1リャンメンターツ」、ソーズが「の1メンツ+1ターツ(組み合わせて3メンチャンターツ)」という形になっています。
雀頭が無くメンツやメンツ候補が十分にあり、加えて雀頭を作りやすい形が組み込まれています。
や23456sのような形は、代表的な「雀頭を作りやすい連続形」です。
テンパイ時にの部分が残れば「を切っての亜リャンメン」になりますし、の部分が残れば「を切ってのノベタン」もしくは「を切ってのノベタン」になります。
1シャンテンの段階でややを引いた場合も雀頭が完成してテンパイするので、受け入れの広さにも貢献しています。
ちなみに、牌姿Aのケースではのメンツとの部分が連続していることにより、の受け入れも加わっています。
ということで、長々と解説してきましたが、最後に改めてポイントを整理してまとめたいと思います。
牌姿Aの何切る問題を解くために必要な知識は3つです。
①連続形+ヘッドレスが最強の1シャンテンであること
②やが雀頭を作りやすい連続形であること
③を+を分けて捉えられること
記事担当:たけぴー
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